2025年02月19日
酪農について学んでみよう ~乳牛の知識 後編~
乳牛の飼料
牛の飼料は大きく「粗飼料(そしりょう)」と「濃厚飼料(のうこうしりょう)」に分けられます。草食動物の牛にとって粗飼料は主食にあたります。牧草は放牧して生のまま食べさせることもありますが、日持ちするよう乾燥させたり、発酵(はっこう)させてサイレージにすることもあります。ミルクをたくさん出すため、トウモロコシなどのこく類をブレンドした濃厚飼料(配合飼料)も与えています。
牛の胃には、微生物が暮らしています
牛には胃が4つあって、食べた草はまず「ルーメン」と呼ばれる一番大きな胃に入ります。この中にはたくさんの微生物(びせいぶつ)が暮らしていて、食べた草の繊維質(せんいしつ)を微生物の力を借りて分解してもらっています。牛は微生物が草を分解しやすいように、一度飲み込んだ草を口の中にはき戻し、細かくすり潰してはまた飲みこむ「反芻(はんすう)」を繰り返します。
酪農のSDGs
牛は草からミルクを作りだしてくれる人間にとってありがたい動物ですが、牛のゲップに含まれている「メタン」という物質が地球温暖化(ちきゅうおんだんか)に影響すると心配されています。メタンは胃の中の微生物が草を分解する途中で発生するものなので、メタンをゼロにすることはできませんが、牛から出るメタンを減らすエサの開発やメタンが出る量が少ない牛の研究などが行われています。
乳牛は、1日に20~40kgのふんをし、6~12Lの尿をします。このふん尿の処理も酪農家の大切なお仕事の一つです。酪農家は、毎日大量に出るふん尿を集めて牛舎をきれいにし、集めたふん尿を発酵させて肥料を作っています(これを堆肥(たいひ)といいます)。堆肥は牧草のほかにも私たちが食べる野菜や米の肥料として使われています。ふん尿もこうして循環(じゅんかん)しているんですね。