資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

PBR1倍水準、ROE8%以上で近年は推移しているものの、直近(2024年5月時点)は大規模な資産売却影響により株主資本が増加し ROE 低下要因となっております。株主資本コストは6%程度 (CAPM モデルおよび株主・投資家ヒアリングより)と認識しており、これを上回る ROE は達成出来ているものの、早期に8%以上へ回復することが重要と考えております。

当社は「森永乳業グループ10年ビジョン」「中期経営計画2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」等に沿って、ROEやPER向上への取り組みを進めております。ステークホルダーの期待に応え、持続的な成長とさらなる企業価値向上に向けて「収益力・効率性の向上」「バランスシート方針のアップデート」「IR・コーポレートガバナンスの強化」の3点に取り組んでまいります。

1.PBR・ROEの推移

PBR1倍水準、ROE8%以上で推移も、直近は大規模な資産売却影響等により株主資本が増加、ROE低下要因となり、早期に8%以上へ回復することが重要と認識

こちらは当社のPBRおよびROEの推移です。いずれの指標においても改めて課題認識をしています。
ROEを底上げし、8%以上に戻すことが重要であると考えています。

2.課題認識と企業価値向上に向けた全体像

①収益力・効率性の向上 ②バランスシート方針のアップデート
③IR・コーポレートガバナンスの強化
上記3点に取り組み、企業価値を向上

こちらは当社の課題認識と企業価値向上に向けた全体像です。
右下に、PBR、ROE、両指標の向上へ向けた大きな方針として、「収益力・効率性の向上」、「バランスシート方針のアップデート」、「IR・コーポレートガバナンスの強化」の3点をお示ししています。

今回の開示にあたり、こちらにお示ししている整理に加えて、対応策をより具体的なものにしたいと考え、その中でも、資本構成への対応についての変化を重視し、具体的な施策をお示しする形としました。

3.収益力・効率性向上への取り組み

激変する環境下、価格改定の遂行で収益力の回復に注力。10年ビジョンにおける現中計の位置づけや方向性に変化はなく、方針に合致した取り組みを着実に実行(次期中期経営計画は2025年春公表予定)

収益力・効率性向上の取り組みについてです。
ROEの分子にあたるRの部分については、環境が激変するこの2年の中で中期経営計画2022-24の当初計画から見通しを引き上げることができ、一定の進捗を図ることができたものと考えています。現中計での目指す方向性、方針に沿った取り組みが収益力の向上につながると考えており、着実に取り組みを進めていきます。

また現在、次期中計の策定を進めており、スライド下部に記載のとおり、リソースの集中、価値提供基盤の構築、事業効率の向上等の視点で検討しています。いずれも収益力・効率性を高めることに寄与する内容として、改めて計画をお示しする予定です。

4.バランスシート方針のアップデート(最適資本構成)

財務健全性は担保しつつも最適資本構成を追求し資本コストの低減、企業価値最大化に向けたバランスシート方針にアップデート。今後は一定程度負債を活用しながら成長を目指す

バランスシート方針、最適資本構成についてです。
財務健全性を担保しながらも最適資本構成を追求し、資本コストの低減を図り、企業価値の最大化を目指します。

これまでの当社の財務戦略の考え方として安全性を重視してきましたが、引き続きこの点は大切にしながらも、新たな方針に基づいて一定程度負債を活用する、レバレッジを効かせた経営を進めていく考えです。

スライド中の2つのアプローチ(事業リスクアプローチ、格付けアプローチ)の考慮や、将来の投資計画も踏まえ、段階的に株主資本の割合を圧縮し、資本構成の最適化を進めていきます。

4.バランスシート方針のアップデート(株主還元) 

最適資本構成を追求するバランスシート方針に基づき株主還元強化を実施
年間配当金を前期60円から25/3期は90円へ増配、自己株式取得は前期に続き25/3期も100億円予定

資本構成の最適化に向けた具体策のひとつとしての、株主還元強化についてです。

最適資本構成の議論を進める中で、さまざまな観点から株主還元について検討してきました。
その結果、25/3期の一株当たり年間配当金は前期60円から90円へと増額する計画です。期初予想に対する配当性向は40%となります。なお、当社はこれまで期末配当のみでしたが、25/3期より中間配当制度の導入を予定しています。また、前期に続き25/3期も最大100億円の自己株式取得・消却を実施することを決定しました。

なお、現時点では、現中計における配当性向30%の目標、総還元性向を意識した対応という基本的な考え方自体は変えておりません。今後の株主還元方針については、最適資本構成の考え方や次期中計の策定を踏まえ、成長投資と株主還元のバランスを精査しつつ、検討を進めています。

5.IR・コーポレートガバナンスの強化

積極的な資本市場との対話・情報開示およびコーポレートガバナンス強化により株主資本コストを低減

IR・コーポレートガバナンスの強化についてです。
資本市場の皆さまとの対話は、右上のグラフの通りここ数年400件前後で推移し、数多くの貴重な機会をいただいています。その中で特に注目度の高い海外事業についても、情報開示強化を進めてきています。

また、右下には役員報酬制度の変更をお示ししています。業績連動部分についてROE指標の割合の増加、非財務のKPIも評価軸に加えました。左下には政策保有株式の縮減について記載しています。これまでも縮減を進めてきましたが、今回初めて具体的な目標をお示ししています。

1~7番まで記載した点に限らず、情報開示の強化、ガバナンスの改善を進めていきます。

6.現中計キャッシュアロケーション(更新)

事業の拡大・体質強化への投資、重要課題としての株主還元の実行(増配+自己株式取得)
人財活躍推進および資本市場への意識向上に向けた人的投資の実行(退職給付・株式給付信託)

現中計におけるキャッシュアロケーション(2024年5月14日時点)についてです。

事業拡大、体質強化への投資は計画どおり進めていきます。一方で、当初計画を上回るキャッシュの使途については株主還元の強化に加えて、人的投資の強化として退職給付信託への拠出および社員への株式給付信託の導入に充てることを決定しました。こちらは人財活躍推進の観点のみならず、当社社員の資本市場への意識向上も目的とした施策です。

上記の各スライドでお示しした方針に則り、持続的な成長とさらなる企業価値向上の実現に向けて取り組んでまいります。

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