業績情報

森永乳業グループ2024年3月期の概況

売上高 5,470億59百万円(前年比4.1%増)
営業利益 278億39百万円(前年比16.3%増) 
経常利益 281億04百万円(前年比11.4%増)
当期純利益 613億07百万円(前年比263.3%増)

※ 「当期純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」

当期はウクライナ情勢の長期化や中東情勢の動向、世界的な金融引き締め政策など、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じました。国内においては、感染症対策の規制緩和を受けた経済活動の持ち直し、労働需要増加、賃金上昇、インバウンド需要の回復などを受け緩やかな景気回復が続くことが期待された一方、物価上昇による家計や企業への影響は今後も継続すると考えられ、引き続き国内外の情勢を注視する必要があります。
そのような中、森永乳業グループにおいては前期より開始した「中期経営計画2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大に継続して取り組みました。 また、海外事業においては、主力となるMILEI GmbH(ミライ社)事業に加えて、前期に実施したパキスタン、米国、ベトナムでのM&Aによる事業計画を着実に軌道に乗せるべく、中長期での成長を目指した取り組みを進めました。
一方で、原料乳・原材料価格や各種オペレーションコストについては、前期に引き続きさまざまなコストアップの影響を受けました。生乳取引価格においては、2023年4月からの乳製品向け、8月からの飲用・発酵乳用途向けに続き、12月からはバター向けおよびクリーム向けの価格の引き上げが行われ、一段とコストアップが進行しました。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進いたしました。 これまでの取り組みをさらに推進させることに努めた結果、当期については増収増益となりました。

<中期経営計画の概要>
2025年3月期までの3年間の「中期経営計画2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、
  • ・「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」
  • ・「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」
  • ・「効率性を重視した財務戦略」

の3つを基本方針に定め、取り組んでいます。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのテーマにより2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めております。

中期経営計画の最終年度(2025年3月期)の数値目標については、売上高5,700億円、営業利益300億円、親会社株主に帰属する当期純利益190億円、売上高営業利益率5.3%、ROE(自己資本利益率)7.0%、海外売上高比率12.3%としています。(2024年5月14日修正)

<当期の主な取り組み事項>
当期は「中期経営計画2022-24」の達成に向けた重要な1年と位置付け、各取り組みを推進し、激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めてまいりました。
  • ・原料乳・原材料・エネルギーコスト上昇への対応
  •  - 価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制
  • ・「中期経営計画2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」に沿った取り組みの推進
  •  - 当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応える商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求
  •  - 栄養・機能性食品事業を中心に、ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大
  •  - 海外事業のさらなる成長に向けた取り組みの推進
  •  - 当社グループの基盤となる主力食品事業の収益基盤の強化、BtoB事業(業務用乳製品)の回復
  •  - 経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資
    (2025年4月稼働予定:神戸工場製造棟増築、ほか)
  •  - 株主還元の強化
    (2023年5月発表:「自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ」、 2023年10月および2024年2月発表:「配当予想の修正に関するお知らせ」)
  •  - サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み
    (本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への配慮、グループ全体のサステナビリティ意識の浸透など)

これらの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジ、チーズ、牛乳、デザートなどの価格改定や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の提供に努めました。また、価格改定や消費活動回復によるBtoB事業の増収、新規連結した海外子会社の寄与など海外事業の拡大、国内子会社の拡大もあり、全体では増収となりました。
連結の利益面では、原材料価格や各種オペレーションコストを中心に、引き続きさまざまなコストアップの影響を受けました。特に原材料については、2023年4月に乳製品向け、8月に飲用・発酵乳用途向け、12月にバター向けおよびクリーム向けの生乳取引価格の引き上げが行われました。
また、2023年4月に実施した東京工場跡地売却にかかる一時的な税負担や、M&Aによるのれん償却費の増加など、新たなコストアップも発生いたしました。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進いたしました。これまでの取り組みをさらに推進させることに努めた結果、全体では増益となりました。なお、海外事業は前期に大きく拡大したMILEI社の反動減などがあり減益となりましたが、中長期での成長を目指し、引き続き取り組みを推進いたしました。
また、親会社株式に帰属する当期純利益につきましては、東京工場跡地売却による特別利益として第1四半期に657億円を計上したこともあり、61,307百万円、前年比263.3%増と大幅増益となりました。
なお、公益財団法人ひかり協会に対する負担金として、当期は約16億円を支出いたしました。

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