Biodiversity Initiatives at Morinaga Milk Group

森永乳業グループの生物多様性への取り組み

ガバナンス

森永乳業グループでは、社長を委員長、サステナビリティ本部長を副委員長、社内取締役および全本部長を委員として構成するサステナビリティ委員会を年2回開催しています。森永乳業グループのサステナビリティ活動に対する基本方針の策定、構成する部会からの報告・提案についての討議、検討を行い、取締役会への報告を通じてサステナビリティ経営の実現を図っています。

サステナビリティに関わる課題については、サステナビリティ委員会以下に「気候変動対策部会」、「プラスチック対策部会」、「人権部会」、「ウェルビーイング部会」の4つの部会を設け、部門横断的に構成させたメンバーによる方針策定や戦略立案・実行とサステナビリティ委員会への報告を行っております。専門的知見が必要な分野については部会のもとにプロジェクトを設置し、部会の議論に反映させています。自然資本については気候変動対策部会で議論を進めています。

自然資本に関する推進体制

戦略

TNFD v1.0版のLEAP アプローチに従って、森永乳業グループの事業活動における自然資本への影響と生態系サービスへの依存に対する自然資本関連のリスクについて調査しました。調査方法はグローバルなデータに基づく評価ツールであるENCORE(※1)とWWF Risk Fliter Suite(※2)を用いて、森永乳業グループのバリューチェーン上の「農産物調達」、「生乳調達」、「製造」、「流通」について評価を行いました。
「農産物調達」、「生乳調達」は森永乳業グループが調達している主要20品目が含まれます。また、「製造」は主幹工場について行い、「流通」は国内流通としました。
ENCOREとWWF Risk Filter Suiteによる評価は業界の代表値によるもので、自社事業で定性的に把握しているリスクの反映が十分ではないため、森永乳業グループのバリューチェーン実態に定性評価を別途実施し、ヒートマップに反映させました(定性評価にて評価が変わった項目については<>マークを記載しています)。

(※1)「ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)」。
国際金融業界団体「Natural Capital Finance Alliance(NCFA)」が作成した、環境変化が経済に与える影響を整理及び可視化したオンライン・ツール。

(※2)「生物多様性リスクフィルター」。
環境保護団体「World Wide Fund for Nature(WWF)」が作成した、企業や金融機関が自社のビジネスやサプライチェーン、また投資先の事業などに生物多様性に関連したリスクが無いかをチェックし、対策を講じるためのオンライン・ツール。

事業と自然との影響、依存関係
自然への影響関係評価

※VL=Very Low(非常に低い)、L=Low(低い)、M=Medium(中程度)、H=High(高い)、VH=Very High(非常に高い)

戦略図1
自然への依存関係評価
戦略図2
※1気候変動×生乳調達をVHとした理由

生乳生産における牛の消化管内発酵由来メタンや糞尿が温室効果ガスとして気候変動に影響を与えることが知られていますので、生乳調達の温室効果ガスについてVery High評価としました。

※2汚染×製造をHとした理由

国内製造工場においては排ガスには大気汚染防止法、排水には水質汚濁防止法、廃棄物には廃棄物処理法、騒音には騒音規制法の法的規制を受けています。これらは「人の健康や生活環境」の保護の観点等からの規制ですが、「生活環境」には「人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む」とされていることから、法規制のある項目についてはHigh評価としました。
(例)水質汚濁については、「国立研究開発法人 国立環境研究所 環境基準等の設定に関する資料集(https://www.nies.go.jp/eqsbasis/water.html)」を参考にしております。

※3基盤サービス(換気・水流維持・水質維持)×製造をHとした理由

食品製造においては設備洗浄等に多くの水を使用していることから、水流維持・水質維持についてHigh評価としました。また、乾燥等の工程においては外気を利用しており、換気についてもHigh評価としました。

リスクと機会の評価

2024年度は、森永乳業グループが調達している主要20品目のうち、国際的に自然資本リスクが注目されているコーヒー豆と、コーヒー製品に絞って、詳細に分析を行いました。さらにコーヒー豆調達リスクの解像度を高めるため、拡張多国間関連分析の手法を応用したaiESG社による産業連関分析を利用して、コーヒー豆に基づいて、10次取引先まで環境負荷(耕作地負荷、総水使用量、CO₂排出量)を推計しました。

リスク評価では、コーヒー豆調達、製造それぞれについて、急性、慢性リスクとそれを踏まえた事業における想定リスク、財務インパクト概算および打ち手としての戦略を整理し、財務インパクト試算では森永乳業の主力商品の一つであるチルドコーヒー売上No.1ブランド(※)のマウントレーニアシリーズでのコーヒー豆調達と製造を念頭に売上に相当するリスク試算とさらにこれらを踏まえた事業機会を検討しました(インパクト大:50~100億円、中:25~50億円、小:~25億円)。

(※)出典 インテージSRI+ チルド飲料市場(コーヒー系) 2022年4月~2023年3月 累計販売金額

リスクの評価:コーヒー豆調達
リスクの評価:コーヒー豆調達

※事業リスクの財務インパクト 大:50~100億円、中:25~50億円、小:~25億円
※陸域改変、淡水域改変、水採取については、移行リスクおよび物理リスクにて評価。

リスクの評価:コーヒー製品製造
リスクの評価:コーヒー製品製造

※事業リスクの財務インパクト 大:50~100億円、中:25~50億円、小:~25億円
※汚染(大気、水域、廃棄物、水採取)は移行リスクにて評価。

機会の評価
機会の評価

目標と指標

森永乳業グループは、自然関連の依存・影響、リスク・機会を特定し、「サステナビリティ中長期計画2030」において、指標化し、管理しています。
これらの指標は、サステナビリティ委員会で進捗を管理・監督しています。

目標と指標

また、TNFDレポートでは、自然関連の依存とインパクトに関するTNFDグローバル中核開示指標と測定指標を開示しています。
森永乳業グループのTNFDレポートはこちら

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