2024年09月13日 研究開発

森永乳業が初めて発見した※1乳由来ペプチド

トリペプチドMKP®の摂取により、血圧が高めな方の収縮期血圧および
拡張期血圧のいずれも低下させることを確認 ~科学雑誌『Nutrients』掲載~

 森永乳業は長年にわたり、牛乳のたんぱく質から作られる、乳由来ペプチドの健康効果に関する研究を行っています。このたび、トリペプチドMKP®の摂取によって血圧が高めの方の収縮期血圧だけでなく、拡張期血圧も下げることが明らかとなりました。本研究結果がNutrients誌に掲載されましたので、ご報告いたします※2
 なお、本研究は当社と包括連携協定を締結している長野県松本市において松本市立病院、松本ヘルス・ラボとの産官連携で実施しました。

1.研究背景
 高血圧は、心血管疾患や脳卒中を含む様々な疾患のリスクになることが知られており、正常な血圧を維持することは私たちの健康に重要だと考えられています。特に、血圧が高めであっても、高血圧の病者域にまで血圧が上がらなければ、高血圧病者に比べて心血管疾患のリスクが低いことが報告されています1)。これまでの研究から、トリペプチドMKP®の摂取により高値血圧者やⅠ度高血圧者の収縮期血圧を低下させることが報告されています2)。そこで今回、高血圧病者ではない血圧が高めの健康な成人男女を対象として、トリペプチドMKP®が収縮期血圧および拡張期血圧に与える影響を調査しました。

1) 「Prognosis of Prehypertension Without Progression to Hypertension.」 Niiranen, T.J., et al. Circulation (2017), 136, 1262-1264.
2) 「Antihypertensive Effect of the Casein—Derived Peptide Met—Lys—Pro in Individuals with High—Normal Blood Pressure or Grade 1 Hypertension―A Randomized, Double—Blind, Placebo—Controlled, Parallel—Group Trial.」 Yuda, N., et al. 薬理と治療 (2018), 46, 529-537.

2.研究内容・結果
対象者   :血圧が高め(収縮期血圧120-139mmHgまたは/かつ拡張期血圧80-89mmHg)の健康な成人男女121名
試験デザイン:ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
期間    :2023年12月~2024年3月(摂取期間12週間)
内容    :対象者をランダムに2群に分け、プラセボまたはトリペプチドMKP®(100 μg/日)を含む食品のいずれかを
       摂取していただき、4週間おきに血圧(収縮期血圧、拡張期血圧)を測定しました。
結果    :トリペプチドMKP®を含む食品を摂取した群では、摂取後12週目において収縮期血圧だけでなく、拡張期血圧
       もともに、プラセボ群と比較して有意に低下しました(図1)。また、トリペプチドMKP®摂取群では、
       収縮期血圧、拡張期血圧のいずれも、トリペプチドMKP®摂取前の0週目と比較して、摂取後4週目・8週目・
       12週目の各測定ポイントにおいて有意に低値を示しました(図1)。

図1

      図1. 収縮期血圧(左)、拡張期血圧(右)の4週おきの推移(群間で有意差あり; * p<0.05、群内で0週に対して有意差あり; † p<0.05) 

3.まとめ
 トリペプチドMKP®の摂取により、血圧が高めの方の収縮期血圧および拡張期血圧をともに低下させることが明らかになりました。今回得られた知見を活用し、当社ならではの商品やサービスを通じて、多くのお客さまの健康に貢献してまいります。

※1 トリペプチド MKP®はアンジオテンシン I 変換酵素阻害効果を有する乳ペプチドとして森永乳業が初めて報告したカゼイン(乳タンパク質の一種)由来の物質です。Food Chem. 2013;141(4):3781-3789.
※2 「Effects of Casein-derived Peptide Met-Lys-Pro on Systolic and Diastolic Blood Pressure: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Parallel-Group Study」 Soichiro Sato, Daisuke Ochi, Kazumi Nabeshima, Ryo Sakiyama, Yuki Somoto, Manabu Nakano, Miyuki Tanaka, Masahiko Nakamura
Nutrients 2024, 16(17), 1975. 
URL: https://doi.org/10.3390/nu16172975

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