2021年08月10日 研究開発

軽度認知障害(MCI)の疑いがある方の認知機能改善作用及び、
血中パラメーターHbA1cとの相関関係に関する「ビフィズス菌MCC1274」研究

アルツハイマー病協会国際会議2021(AAIC2021)にて発表


森永乳業は、認知機能改善作用が期待できる「ビフィズス菌MCC1274(Bifidobacterium breve MCC1274)」 を発見し、その認知機能改善作用について、研究を重ねてまいりました。そして、昨年実施した軽度認知障害の方を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間試験(RCT試験)において、顕著な認知機能改善作用が確認されました。また、その後の追加解析により、血中HbA1cと認知機能改善作用に相関関係があることを確認しました。
これらの研究成果を7/26(月)~7/30(金)にアメリカ合衆国・デンバーおよびオンライン配信で開催された、アルツハイマー病協会国際会議2021にて発表いたしました。なお、日本の食品メーカーが発表する事例は非常に珍しく、当社が参加するのも初となります。


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                                      ©︎2021 the Alzheimer's Association
1.学会概要
 アルツハイマー病協会国際会議(The Alzheimer's Association International Conference: AAIC)は、160カ国以上の参加者、約500件の演壇発表と2,500件以上のポスター発表からなる世界最大級の認知症関連の国際学会です。当学会で公開された要旨は、医学雑誌『Alzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Association』のウェブサイトにて後日公開されます。

2.発表内容
▼演題
 Anti-inflammation as one of the mechanisms in the improvement of cognitive function by probiotic Bifidobacterium breve strain (プロバイオティクスであるBifidobacterium breveによる認知機能改善のメカニズムの一つとしての抗炎症作用)

▼研究内容
脳と腸が機能連関する「脳腸相関」が近年注目されており、当社においてもアルツハイマー病と腸内細菌との関連に着目し、当社が保有している「ビフィズス菌MCC1274」に認知機能改善作用があることを発見し、これまで研究を重ねてまいりました。
アルツハイマー病モデルならびにパイロット試験等により得られた「ビフィズス菌MCC1274」の認知機能改善作用の可能性を確認するため、軽度認知障害の疑いがある方を対象としたRCT試験を実施しました。その結果、主要評価項目である『アーバンス神経心理テスト(RBANS)』において、総合的な認知機能の指標である評価点合計の著しい改善が見られました。さらに記憶力を司る即時記憶と遅延記憶、空間認識力を司る視空間・構成のスコアも顕著に向上しました。また、副次評価項目である『あたまの健康チェック®(MCI Screen)』においてもプラセボ群と比較して認知機能の有意な改善が確認されました。
さらに「ビフィズス菌MCC1274」摂取による生化学的・血液学的検査値の変動と、RBANS評価点合計の変動の相関関係を解析したところ、血中HbA1cの変動とRBANS評価点合計の変動との間に負の相関が確認されました。そこで、摂取前における血中HbA1c(4.5~6.0%)の中央値で2群に分けた層別解析を実施したところ、元々血中HbA1cの値が高かったグループにおいて、「ビフィズス菌MCC1274」の認知機能改善作用がより顕著であることが確認されました。HbA1cは、血糖値や全身の炎症状態を反映する血中パラメーターであることから、「ビフィズス菌MCC1274」の抗炎症作用等によって、認知機能が改善したことがヒト臨床試験において示唆されました。


これまでの「ビフィズス菌MCC1274」に関する学会発表などの詳細はこちら

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