高齢者型の腸内細菌叢が加齢性疾患を促進させる可能性を確認 ~科学雑誌『Gut Microbes』掲載~
森永乳業は、健康な日本人の腸内細菌叢の基礎的な研究に長年取り組んでおります。健常者の腸内細菌叢は加齢に伴って変化することが知られていますが、そのバランスと実年齢は必ずしも一致しておらず、高齢者にも成人と類似した腸内環境を有している方が一定数存在しています。
今回、腸内細菌叢が年齢相応の高齢者(高齢者型)と、実年齢よりも若い高齢者(成人型)との比較を行いました。その結果、高齢者型の腸内細菌叢を有する高齢者群では、動脈硬化症などの加齢性疾患のリスクに関連する代謝産物や、腸管バリア機能を減弱させる代謝産物が多いことが分かり、腸内細菌叢が老化することで全身性の加齢性疾患のリスクが上昇する可能性が示唆されました。本研究から、腸内細菌叢を若く保つことが加齢に伴う疾患の予防(またはリスク低減)に有用であると考えられます。
本研究成果は、科学雑誌「Gut Microbes」(※1)に2021年1月12日に掲載されました。
森永乳業では、今後も継続してヒトの健康維持における腸内細菌及び腸内環境の制御方法や、その重要性について、さまざまな観点から研究を続けてまいります。