京都大学との産学共同講座
「ヒト常在性ビフィズス菌(HRB)研究講座」 10月1日(木)より開設のお知らせ
この度、森永乳業株式会社はヒトの腸内に棲息するビフィズス菌(Human residential Bifidobacterium; HRB)と宿主であるヒトとの共生メカニズムを解明し、我々の健康に密接な関りを持つプロバイオティクス素材が有する保健効果の分子機序(作用機序)解明に向けた取り組みを加速すべく、京都大学と産学共同講座「ヒト常在性ビフィズス菌(HRB)研究講座」を開設することといたしました。
産学共同講座とは、大学内に研究組織を設置し、大学と企業等との共通の課題について共同で研究を行うことによって、優れた研究成果が生まれることを促進する京都大学の制度で、森永乳業として初めての取組みとなります。
プロバイオティクスとは「腸内フローラのバランスを改善することによりヒトに有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義(※1)され、主にビフィズス菌や乳酸菌が製品として世界中で活用されています。ビフィズス菌は1500万年以上もの長きに亘り、類人猿と共に進化を遂げてきたことが示唆されています(※2)が、私たちは、その中でもヒトの腸管に特徴的に生息する種を「ヒト常在性ビフィズス菌(Human-Residential Bifidobacteria、HRB)」と命名しました(※3)。HRBの存在は、それらがヒトの健康にとって極めて重要な役割を担ってきたことを示す証拠だと考えています。
一方、近年プロバイオティクスの重要性が再認識されはじめ、多くの保健効果が臨床試験で実証されていますが、その作用機序には不明な点が多く残されています。これは本分野における研究の多くがヒト(宿主側)を起点とした内容(臨床試験による機能性評価など)であり、プロバイオティクス側(細菌側の研究)が十分行われてこなかったためと考えられます。
本講座では、この課題解決に向けプロバイオティクス側からの研究を推進し、特にHRBとヒトとの共生・共進化の分子メカニズムを解明することで、真に価値のある機能性素材をお客さまにお届けできるよう、その礎となる研究を進めてまいります。
※1 出典: J Appl Bacteriol 1989 May;66(5):365-78.
※2 出典: Science 2016 Jul 22;353(6297):380-2.
※3 出典: FEMS Microbiol Rev. 2020 May 1;44(3):369-385.