ラクトフェリンの摂取が感染性胃腸炎の発症、症状を抑制
~日本ラクトフェリン学会第7回学術集会 学会賞受賞演題のご報告~
森永乳業では、長野県松本市、信州大学と産官学連携で、ラクトフェリンの摂取が冬季感染症の発症、症状に及ぼす効果の共同研究を実施し、ラクトフェリンの摂取が、感染性胃腸炎の発症率を低下させ、下痢の有症期間を短縮させることを確認しました。本研究結果は、信州大学医学部衛生学公衆衛生学教室(野見山哲生教授)より、日本ラクトフェリン学会第7回学術集会(10月30日、昭和大学)にて発表され、日本ラクトフェリン学会 学会賞・冨田賞(応用部門)*を受賞いたしました。
*日本ラクトフェリン学会 学会賞には津田賞と冨田賞があり、津田賞は基礎部門、冨田賞は応用部門から選ばれます。
<研究の背景と目的>
ラクトフェリンはヒトなどの哺乳類の乳汁や唾液などに含まれるタンパク質で、さまざまな病原体に対して感染防御作用を示すことが報告されております。臨床研究では、冬季感染症の罹患リスクが高い保育園児がラクトフェリンを摂取することで、感染性胃腸炎の主要な病原体であるノロウイルスへの感染率が低下することが報告されております。今回、園児と接する機会の多い保育園、幼稚園職員もまた冬季感染症の罹患リスクが高いことから、ラクトフェリンの摂取が冬季感染症の発症、症状に及ぼす効果を検討いたしました。
当研究は、森永乳業が2014年より加盟している松本地域健康産業推進協議会の事業として、地域の人々の健康の維持に貢献することを目的として、長野県松本市、信州大学との産官学連携で実施されました。
<主な結果の概要>
1.感染性胃腸炎の発症率
感染性胃腸炎の発症率は、プラセボ群が22.6%(26名/116名)、200mg群が12.1%(13名/107名)、600mg群が11.6%(13名/112名)で、200mg群、600mg群でプラセボ群と比較して有意に低いことが分かりました(図1)
2.下痢の有症期間
感染性胃腸炎を発症し、下痢の症状が見られた人の1回あたりの有症期間は、プラセボ群(13名)が1~6日、200mg群(9名)が1~2日、600mg群(8名)が1日で、600mg群でプラセボ群と比較して有意に短いことが分かりました(図2)。
<まとめ>
以上の結果から、ラクトフェリンの摂取は、感染性胃腸炎の発症を抑制し、発症した場合の下痢の期間を短くすることが示唆されました。
森永乳業は、ラクトフェリンに関する研究を重ね、体調を崩しやすい季節の身体の健康維持に貢献してまいります。