貧血とは赤血球に含まれる血色素(ヘモグロビン)濃度が低下した状態をいい、WHOの基準では、15歳以上の妊娠していない女性でヘモグロビン値が12.0g/dl未満が貧血とされ、特に月経がある女性で生じやすいことが知られています。日本人の健康や栄養素の摂取状況を調査した国民健康・栄養調査では、ヘモグロビン値が12.0g/dl未満の女性の割合が1~2割程度であることが示されています※1。
また、ヘモグロビンが低下していなくても、体内の貯蔵鉄が不足する隠れ貧血の状態の女性も多いとされています。
※1 令和元年 国民健康・栄養調査
貧血には様々な種類がありますが、最も生じやすい貧血としては体内の鉄が不足することで赤血球に含まれるヘモグロビンが作れなくなることで生じる鉄欠乏性貧血があります。鉄欠乏性貧血の予防には、食事からしっかりと鉄などの必要な栄養素をとることが大切です。
また、鉄は他のミネラル同様に、汗や尿などでも失われるため、日常生活を通じて失われた分を補給する必要があります。さらに貧血の予防には、赤血球やヘモグロビンの材料となるたんぱく質、鉄の吸収を助けるとされるビタミンC、赤血球を作る際に重要なビタミンB群や葉酸などのビタミンも十分に摂取することが重要と考えられます。
推奨量※1 | 実際の 摂取量※2 |
差 | |
---|---|---|---|
20代 | 10.5mg | 6.2mg | 4.3mg |
30代 | 10.5mg | 6.4mg | 4.1mg |
40代 | 10.5mg | 6.7mg | 3.8mg |
50代 | 11.0mg | 7.2mg | 3.8mg |
※1 日本人の食事摂取基準(2020年版)
※2 令和元年 国民健康・栄養調査 平均値
国民健康・栄養調査によると、20~50代女性の鉄の摂取量は1日に6~7mg程度で、どの年齢層においても「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で示された「推奨量」よりも約4mg足りていないようです。
今の食生活で更に4mgの鉄を摂ることは難しいかもしれませんが、サプリメントや鉄が強化された食品を取り入れることなどの工夫も含めて、毎日無理せず続けられるように意識してみてください。