腸活を正しく知ろう!基礎知識やメリットと気をつけておきたいこと
最近、「腸活」という言葉をよく耳にするようになりました。日本人の食生活の欧米化が進むなかで、お通じの悩みを抱える方も増えているようです。
この記事では、聞いたことはあるけれど詳しくは知らないという方向けに、「腸活」の基礎知識や、生活に取り入れる際のポイントについて、解説していきます。
健康につながる「腸活」とは?
「腸活」とは、腸内環境をより良い状態にするために、生活習慣の改善を図りながら、腸内の環境を整えていく活動のことをいいます。
腸内細菌のバランスを整えることが大切
人間の腸には、およそ数百種類、数にするとおよそ40兆個の細菌が存在するといわれています。腸内環境を整えるためには、腸内細菌のバランスを整えることが大切です。代表的な腸内細菌は下記の通りです。
POINT
・善玉菌
(人体に良い影響を与える腸内細菌。ビフィズス菌や乳酸菌など)
・悪玉菌
(人体に悪い影響を与える腸内細菌)
・日和見菌
(善玉菌・悪玉菌のどちらでもない腸内細菌)
これらの腸内細菌は互いに密接な関係をもち、常にバランスを取り合っています。善玉菌を優位に保ち、かついろいろな種類の菌が存在することが大切です。
「腸活」とは、腸内細菌(善玉菌、悪玉菌、日和見菌)のバランスが良好に保たれた状態、つまり良い腸内環境をキープするためのアクションであるともいえます。
生活リズムを整えるのも腸活の一環
健康な人の腸内は、いろいろな種類の菌がバランスよく共存している状態です。反対に、生活リズムが不規則であったり、食生活が乱れていたり、ストレスがあったりすると、腸内細菌叢(そう)のバランスが崩れてしまいます。腸活の一環として、適切な睡眠時間を確保したり、適度なリフレッシュでストレス発散をしたりして、生活リズムを整えることも意識しましょう。
腸年齢をセルフチェック!あなたの腸内環境はどんな状態?
腸活を始める前に、まずは今のご自身の腸年齢をセルフチェックしてみましょう。次の質問に当てはまる項目がいくつあるか、数えてみてください。
POINT
<腸年齢チェック>
生活習慣に関する質問
□1日の運動量が30分以下だ
□タバコをよく吸う
□顔色が悪く、老けて見られる
□肌荒れや吹き出物に悩んでいる
□おならがくさい、またはくさいと言われる
□寝つきが悪く、寝不足
□ストレスをよく感じる
食事に関する質問
□朝食は食べないことが多い
□朝食はいつも慌ただしく短時間で済ます
□食事の時間を決めていない
□野菜不足(1日摂取量350g以下)だと感じる
□肉が大好き
□牛乳や乳製品が苦手
□週に4回以上、外食をする
□アルコールを毎日多く飲む
トイレに関する質問
□便の時間が不規則
□いきまないと出ないことが多い
□排便後も便が残っている気がする
□便が硬くて出にくい
□コロコロとした便が出る
□ときどき便がゆるくなる
□便の色がこげ茶もしくは黒っぽい
□出た便が便器の底に沈みがち
□便がくさい、またはくさいと言われる
POINT
<あなたはいくつ当てはまりましたか?>
・0〜4個:実年齢
あなたの腸は実年齢以下で腸内環境も良好。油断せず生活に気をつけ、この状態を保ちましょう。
・5〜9個:実年齢+10歳
腸が実年齢より10歳ほど上。生活を改善すればまだ十分取り戻せる状態です。いまから生活習慣を改善しましょう。
・10〜14個:実年齢+20歳
おなかの調子がきになる方や、不摂生を続けている人に多いレベルです。早急に生活改善に取り組みましょう。
・15個以上:実年齢+30歳
実年齢が若くても、腸はすでに老人のような状態。すぐに食生活を改善しましょう。
あなたの腸年齢はどうでしたか?
腸年齢は、腸内細菌のバランスによって決まります。善玉菌が多く、悪玉菌が少ない人ほど、腸年齢が若いといえます。
腸活の具体的なやり方とは?
ここでは、腸活の具体的な方法を解説していきます。
食事
腸内環境を整える効果の高い食べ物を積極的にとりましょう。腸内環境を整えるには、善玉菌を含む食品(プロバイオティクス)と、善玉菌のエサになるものを含む食品(プレバイオティクス)を合わせてとると、より効果的だといわれています。腸内にもともと存在している善玉菌に、「エサ」であるプレバイオティクスを与えることで、善玉菌の数を増やすことができるのです。
腸活に効果的な食材は、次のとおりです。
POINT
【善玉菌を含むもの(プロバイオティクス)】
発酵食品(ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、キムチ、チーズ)など
【善玉菌のエサとなるもの(プレバイオティクス】
食物繊維(※)、オリゴ糖など
※食物繊維には水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があり、どちらも腸にうれしい効果が期待できます。善玉菌を増やすのに特に効果的なのは、「水溶性食物繊維」です。
【水溶性食物繊維を多く含む食材】
野菜…ごぼう、にんじん、モロヘイヤ、おくら、ブロッコリー、ほうれん草など
果物…いちご、みかん、アボカドなど
芋類…じゃがいも、里芋、長芋、こんにゃくなど
穀類…大麦、オートミール、ライ麦など
豆類・海藻・きのこ類
プレバイオティクスであるオリゴ糖は、急に摂取すると下痢を起こしたり、おなかが張ってしまうことがあります。その場合は少ない量から始め、少しずつ体を慣らしていくとよいでしょう。
プロバイオティクスとプレバイオティクスをはじめ、さまざまな食品をバランスよく3食食べることが大切です。厳しく考えすぎるとかえってストレスになり、腸内環境に悪影響が出てしまうかもしれません。無理なく、ご自身のできる範囲で毎日続けていくように意識しましょう。
運動
運動することで腸が刺激されるので、腸活におすすめです。特に、腸のまわりの腸腰筋は、便を出す力のもととなる大切な筋肉です。歩くことでも鍛えられるため、手軽なウォーキングから始めてみてはいかがでしょうか。
POINT
【腸活におすすめの運動】
1.ウォーキング
便を出す力を鍛えるには、1日に9000歩ほどのウォーキングが効果的です。9000歩は時間にして約90分ほど。階段の上り下りや、坂道を歩くように心がけると、さらに効果がアップします。
体力的に不安がある方や、まとまった時間がとれない場合は、朝夕など1日の中で数回に分けて歩いてもOKです。
2.軽いエクササイズ
腸活に効果のある、手軽なエクササイズを取り入れてみるのもおすすめです。ウォーキングのための時間がなかなか確保できない方や、ひざ・腰が痛い方にもぴったりです。
POINT
【腸活におすすめの「足上げエクササイズ」】
1.イスに座って背筋を伸ばし、片足ずつ上げる・下ろすを繰り返します。
2.イスに座ったまま、上半身を左右に回してお腹をひねったり、お腹を伸ばします。
それぞれ10回を1セットとし、定期的に続けることで腸腰筋によい刺激を与えることができます。
マッサージ
マッサージで腸を外側から刺激するのも効果的です。お腹のあたりを両手でやさしく揉むことで、腸の動きが活発になります。
マッサージをする時は、「の」の字を描くように手を動かすのがポイント。指で押すと刺激が強くなりすぎるので、手のひらを使い、お腹全体をやさしく、時計回りに押し動かしていきます。
力が強すぎたり、反対周りに動かしてしまうと、かえって逆効果になってしまうことがあるので注意が必要です。痛みがあったり、気分が悪くなってしまったらすぐに中止し、改善しない場合は医師の診察を受けましょう。
腸活で気をつけたいポイントとは?
腸活の基礎知識や、具体的なやり方をご紹介してきました。
最後に、腸活を取り入れるうえで、気をつけたいことや注意点について解説します。
同じものばかりを食べないこと
善玉菌を多く含む、または善玉菌の増加を助ける食材を積極的に食べることは、腸活にも有効だといわれています。かといって、同じ食材ばかりを繰り返し食べ続けるのは良くありません。理想的な腸内環境は、いろいろな種類の菌がバランスよく共存している状態です。そのため、同じものをたくさん食べるのではなく、バランスよくいろいろな食材を食べることが大切です。
食事だけでなく生活習慣にも配慮すること
睡眠不足が続いたり、ストレスが多いと自律神経のバランスが崩れ、腸の働きも乱れがちになってしまいます。ストレスやプレッシャーを感じるとお腹を壊すことがあるように、人間の心と腸は密接に関連しているのです。
そのため、腸活は食事の改善だけでなく、生活の見直しが必要不可欠です。毎日の睡眠リズムを整えたり、適度な運動を続けたり、ストレスを発散する趣味をもつことも、立派な腸活といえます。
無理なく毎日続けること
健康的な毎日のために、腸活で腸内環境を整えることは大切です。しかし腸活を続けることがプレッシャーになったり、ストレスに感じてしまっては、かえって腸内環境に悪い影響を与えてしまうかもしれません。ご自身の生活スタイルのなかで無理のない範囲で、毎日続けていくことが理想的な腸活です。
健康な未来のために、腸活を始めよう!
お腹の悩みを抱えている方には、「腸活」で腸内環境を整えるのがおすすめです。具体的には、善玉菌を増やす食物を積極的にとったり、ウォーキングなどで適度に体を動かしたり、お腹のマッサージなどの方法があります。
また、食事だけでなく、生活習慣を改善し、ストレスの少ない生活を心がけることも大切です。正しい知識を身につけて実践し、気持ちの良い毎日を過ごしましょう!