大腸の働きとは?小腸とは違う?腸の働きをわかりやすく解説
腸内環境を整えると健康に良いことが知られていますが、そもそも私たちの大腸はどのような働きをしているのでしょうか?小腸とは違う働きをしているのでしょうか?
この記事では、大腸と小腸の働きについて解説します。
腸の構造と役割とは?
私たちは生きるために食事から必要な栄養を吸収し、不要なものは排泄する行為をくり返しています。食べ物は口→食道→胃→小腸→大腸を順に運ばれ肛門から排泄されます。
このうち特に、腸(小腸と大腸)は食べ物の消化・吸収の役割を担う大切な臓器です。
ここでは、それぞれの働きを詳しく見ていきましょう。
小腸
食べ物は胃である程度分解されますが、栄養分として吸収するにはまだ不十分です。そこで小腸は、食べ物を胆汁や膵液、腸液によってさらに細かく分解し、栄養分を吸収しやすくする働きがあります。
食べ物の消化・吸収の約90%は小腸で行われるのですが、その時間は約3時間と短いことが特徴です。短時間で消化・吸収ができる理由は、小腸の形状にあります。
小腸の内側には絨毛(じゅうもう)と呼ばれるヒダがあり、絨毛はさらに小さな微絨毛に覆われています。絨毛と微絨毛があることによって小腸の表面積はテニスコート1面分ほどの大きさになり、栄養分を効率よく吸収できるようになっているのです。
また小腸の構造は、直径2㎝、長さ6~7mの細長い管で、十二指腸・空腸・回腸の3つの部分に分けられます。それぞれの働きは以下のとおりです。
POINT
・十二指腸(じゅうにしちょう)
胃で分解された食べ物が最初に入る部分です。肝臓からは胆汁が、膵臓からは膵液が流れてきて食べ物と混ざり合います。
・空腸(くうちょう)
胆汁と膵液によって分解された栄養分を吸収します。
・回腸(かいちょう)
空腸で吸収しきれなかった栄養分を吸収し、残りかすを大腸へ運びます。
大腸
大腸には、便をつくり不要なものを体の外へ排泄する役割があります。
小腸で栄養分を吸収した後に、その残りかすから水分やミネラルを吸収し、固形状の便をつくっていきます。
大腸における消化時間は、24〜48時間と小腸に比べて長いです。便は「蠕動(ぜんどう)運動」という腸が縮んだりゆるんだりする動きによって、ゆっくりと直腸へと運ばれていきます。便がある程度直腸に溜まると便意が起き、直腸が縮んで肛門が開き排泄が完了します。
また大腸の構造は、直径5㎝、長さ1.5mほどの太くて短い管で、小腸のような絨毛はなくつるっとした形状です。大きく盲腸・結腸・直腸に分けられ、以下のような働きをしています。
POINT
盲腸(もうちょう)
退化している部分で特に働きはありません。小指ほどの大きさをした虫垂(ちゅうすい)があります。
結腸(けっちょう)
水分やミネラルを徐々に吸収し、固形状の便をつくります。
結腸はさらに上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。
直腸(ちょくちょう)
便を一時的に溜めておく部分です。便が溜まると便意が起きます。
なお、私たちの腸内細菌は、主に大腸に生息していると言われています。
腸内細菌は、これらのバランス状態によって腸や体の状態も変化します。善玉菌は腸の運動を活発にし、体の健康を支える重要な菌です。
大腸の働きと健康な便とは?
大腸は便をつくる臓器のため、大腸の働きが良いと便の状態も自然と良くなります。理想的な便は、70〜80%は水分、20〜30%が固形物の状態です。固形物は、栄養分を吸収した後の残りかす(主に食物繊維)や腸内細菌、腸からはがれた粘膜などから成り立っています。
このような理想的な便であるかどうかは、見た目や匂いで判断できます。以下のポイントを基準に自分の便を確認してみましょう。
POINT
良い便のPOINT!
・形がバナナ状である
・柔らかい
・黄色~黄色がかった褐色である
・匂いはあっても臭くない
良い便が出るときは、腸内の善玉菌が多く、大腸が良い働きをしている証拠です。逆に、黒っぽくて悪臭のある便が出るときや水っぽい便が出るときは、腸内細菌のバランスが悪くなっていると考えられます。普段の食事や生活習慣から腸内細菌のバランスを整え、大腸の働きを良くしていくことが大切です。
大腸の働きを良くするためには?
大腸の働きを良くするために、次のような習慣を取り入れてみることをおすすめします。
POINT
・運動をする
・ストレスをためない
・水分をこまめにとる
・毎日排便の習慣をつくる
・腸内環境を良好にする
腸内環境を良好にするためには、善玉菌の割合を増やして腸内細菌のバランスを整えることが大切です。善玉菌を直接含むヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆や、善玉菌のエサとなる食物繊維が豊富な野菜や果物を普段の食事に取り入れてみましょう。
大腸の働きを良くすることで、すっきりとした気分で毎日を送れますよ。