便が硬い.......コロコロうんちになる原因と対処法
排便は腸の健康の指標にもなりうるものですが、便が硬くて困っている方もいるのではないでしょうか。
適度な柔らかさのある便を出すには、腸内環境を整えることや、十分な水分補給などが重要です。
この記事では、便が硬く、いわゆるコロコロうんちになってしまう原因や、日常生活に取り入れやすい対処法について詳しく解説します。
お腹の張りや便の出しにくさに困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
便が硬くなってしまうメカニズム・仕組みを解説
そもそも、便がコロコロして硬くなってしまうのはなぜなのでしょうか。
健康的で正常な便はバナナのような形で水分も含んでおり、滑らかな状態です。
しかし、腸のなかに便が長時間滞留していると、便の水分が大腸に余分に吸収されることで硬くなってしまうのです。
便が硬い!コロコロうんちになってしまう原因とは
ここでは前述の便が硬くなるメカニズムを踏まえて、便が硬く、コロコロうんちになってしまう主な原因について解説します。
POINT
【便が硬くなる主な原因】
・食生活が偏っており、栄養バランスが崩れている
・慢性的な水分摂取不足
・運動不足
・精神的なストレス
それぞれの原因について、詳しくみていきましょう。
食物繊維の摂取不足
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、食物繊維の摂取量の目標は18〜64歳の男性で1日あたり21g以上であり、18〜64歳の女性では1日あたり18g以上とされています。
しかし、近年の日本では穀類やいも類、豆類の摂取量の減少に伴い、日本人の食物繊維の摂取量も減少傾向にあるとされています。
食物繊維の摂取量が少ないと、便の量が足りていなかったり、水分が足りていなかったりしてコロコロうんちとなってしまう場合があるのです。
また、食物繊維を十分に摂取していると思っていても「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」をバランスよく取れていないと便が硬くなってしまうことがあります。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維については、食生活のポイントについて述べる章で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
慢性的な水分摂取不足
正常な便は適度に水分を含んでいるため柔らかく、スムーズに排泄される傾向にあります。
しかし体内の水分が不足すると、排出する便に含まれるはずであった水分を腸が吸収するため、排出される便は水分不足のコロコロの便になってしまいます。
厚生労働省によると、1日に必要な飲み水の量は1.2Lです。
日頃から水を飲む習慣があまりない方は、とくに体内の水分が不足しがちな起床時や入浴後、寝る前には意識して水分を摂るようにしましょう。
運動不足
慢性的な運動不足になると、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が弱くなってしまいます。
蠕動運動とは、消化器官の中身を肛門側へ押し出す運動のことです。
腸の動きがにぶると、腸内に便が長時間滞留することで水分を取られてしまい、便が硬くなってしまいます。
精神的なストレス
人間は精神的なストレスを受けると交感神経が優位になるとされており、交感神経が優位になると消化器官の動きは抑制されてしまいます。
そのため、運動不足の際と同様に、便が長時間滞留して水分が取られてしまうことによって便が硬くなるのです。
硬い便の改善に効果的な食生活のポイント
ここでは、硬い便を柔らかくするために重要な食生活のポイントを解説します。
どれも実践しやすいものばかりなので、ぜひ試してみてください。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取する
「便通をよくするためには食物繊維を摂るとよい」というイメージをもつ方は多いでしょう。
食物繊維は消化吸収されずに大腸に届く成分であり、便の量を増やしたり柔らかくしたりすることで、お通じをよくする作用があるとされています。
しかし、食物繊維が豊富な食材をただ摂取すればよいのではなく、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」をバランスよく摂取しなくてはなりません。
水溶性食物繊維とは、その名のとおり水に溶けやすい食物繊維のことで、不溶性食物繊維とは水に溶けない食物繊維のことです。
腸内の善玉菌を増やしたり、便を柔らかくしたりする「水溶性食物繊維」は果物や野菜、海藻類などに多く含まれます。
一方で便の量を増やして腸の運動を促す「不溶性食物繊維」は、根菜類やきのこ類、豆類などに豊富です。
水分や水分を多く含む食材を摂取する
お通じをよくするためには水を飲むだけでなく、食材からの水分摂取も大切です。
たとえば、きゅうりやトマトなどの水分が豊富な食材を摂取するように心がけると、硬い便ができにくくなるでしょう。
キウイフルーツやりんごなどの果物も水分が豊富なのでおすすめです。
起床時に水分摂取をするなど定期的な水分摂取の習慣を持つ
体内の水分が不足すると便が硬くなり、便通が悪くなる原因となってしまいます。
起床時にコップ1杯程度の水分を摂るようにすると、消化器官が刺激されて動きがよくなる効果が期待できます。
日頃から水分をあまり摂らない方は、定期的に水分摂取をする習慣をつくるといいでしょう。
コーヒーやアルコールを控える
「お通じの悩みを改善するには水分補給が大切」といっても、コーヒーやアルコールからの水分補給はおすすめできません。
これらの飲み物には「利尿作用」といって、摂取した水分を尿として体外へ排出しようとする作用があるためです。
水分を摂取する際は、なるべく水や白湯などを選びましょう。
便が硬い時に食事以外で日常生活でできる対処法
ここからは、便が硬くて悩んでいる時に、食事の工夫以外に日常生活のなかでできる対処法を解説します。
適度な運動習慣やマッサージの習慣を身につけるようにする
食事の工夫以外にも、ウォーキングやストレッチのような適度な運動習慣を身につけることは、腸の蠕動運動のためにも役立つといえます。
職場や学校から帰宅する際に一駅分歩いてみたり、テレビをみながらストレッチしたりするのもいいでしょう。
また、体が温まっているお風呂上がりに腹部のマッサージをするのもおすすめです。
精神的なストレスを抱えないようにする
精神的なストレスを受けて交感神経が優位になると、消化管の運動が抑制されてしまいます。
精神的なストレスをゼロにすることは難しいため、好きな音楽を聞いたり本を読んだりするなど、自分なりのストレス解消法をみつけておくといいでしょう。
消化管の動きをにぶらせないためには、リラックスした気持ちで日々を過ごすことが大切です。
便意が来たらすぐにトイレに行く
便意が来ても、我慢してすぐにはトイレに行かない方もいるのではないでしょうか。
忙しいといった理由で排便反射を無視してしまうと便意を感じにくくなり、硬い便が生まれやすくなってしまいます。
便を腸内に長時間滞留させないためにも、便意が来たらすぐにトイレに行くことが大切です。
硬い便を防いで毎日スッキリした気分で過ごそう
この記事では、便が硬くなってしまう原因や対処法について解説しました。
腸内環境や腸の動きが悪くなると、便が腸内に長く留まり、便の水分が吸収されてコロコロと硬い便になってしまいます。
適度な柔らかさのある便をつくるには、食物繊維の摂取や水分補給、運動といった生活習慣の工夫が大切です。
本記事でご紹介した内容を参考に、スムーズな排便で心地よい毎日を過ごしましょう。
この記事の参考資料
食物繊維の摂取量適正化で改善する場合も|便秘と食習慣|厚生労働省e-ヘルスネット
日本人の摂取量は減少傾向にある|食物繊維の必要性と健康|厚生労働省e-ヘルスネット
IV.蠕動運動の発生機序|魅力ある講義と生理学教育(消化器)テーマ:消化管運動の発生機序並びに自律神経性制御|高木 都|奈良県立医科大学生理学第二講座 257P
食物繊維の摂取量適正化で改善する場合も|便秘と食習慣|厚生労働省e-ヘルスネット
食物繊維の摂取量適正化で改善する場合も|便秘と食習慣|厚生労働省e-ヘルスネット
食物繊維の摂取量適正化で改善する場合も|便秘と食習慣|厚生労働省e-ヘルスネット