おならが硫黄の匂いになるのはなぜ?腸内にいる悪玉菌についても解説
卵が腐ったような匂いとも例えられる硫黄臭。おならの匂いは誰でも気になるものですが、なぜ硫黄のような匂いになってしまうのか、不安を感じてしまいますよね。また、対策法があるなら知りたいと思う方もいるでしょう。
この記事では、なぜおならが硫黄の匂いになるのか、仕組みやその原因、改善方法などを解説します。
おならが硫黄臭くなる仕組みとは?
おならが硫黄のように臭くなる仕組みを理解するには、おならが出る理由と硫黄臭が生まれるメカニズムを理解する必要があります。ここからは、その仕組みをそれぞれ解説します。
そもそもおならはなぜ出るの?
おならは消化管の活動の指標とも言われるほど、消化管の働きと密接に関係しています。おならの約7割は口から飲み込んだ空気で、残りの約3割は腸内で食べ物を消化する時に発生するガスです。
腸内ガスの多くは腸管から血液中へと吸収されて呼気として排出されますが、残りはおならやげっぷとして体外に排出されます。つまり、おならは不要なガスを体の外へ出すために必要な生理現象なのです。
個人差はありますが、人間は1日に平均10回前後おならをすると考えられています。また、おならは抑えられないものであり、我慢すると口や皮膚などの他の器官から体外に放出して口臭や体臭の原因となるなど、悪影響をおよぼす可能性があります。
硫黄臭が発生する仕組みと悪玉菌の働きとは
おならの大部分が空気であることからも分かるように、おならの99%は窒素や水素、酸素、二酸化炭素、メタンといった無臭のガスで構成されており、本来であればおならの匂いはほとんどないはずです。ではなぜ、その匂いが硫黄臭となる場合があるのでしょうか。
硫黄臭が発生する仕組みは、腸内に存在する腸内細菌の一種である“悪玉菌”です。悪玉菌とは腸の中で有害な物質を発生させる菌のことで、具体的にはブドウ菌、ウェルシュ菌、大腸菌(有毒株)などがあげられます。
悪玉菌は食べ物を消化・吸収する過程で、硫黄臭の元となる硫化水素や二酸化硫黄といった揮発性硫黄化合物のガスを腸内で発生させます。その結果、おならが硫黄のような臭い匂いに変わってしまうと考えられているのです。
おならの匂いが硫黄臭い!悪玉菌を増やす主な原因とは?
おならの匂いは主に悪玉菌が原因であり、その悪玉菌が増えると匂いも強くなります。では、何が原因で悪玉菌は増加するのでしょうか。
主な理由は私たちが食べるものにあります。ここでは、おならの匂いを硫黄臭くしてしまう具体的な食べ物について解説します。
肉類や卵などの動物性たんぱく質の過剰摂取
腸内の悪玉菌は、肉類や卵などに含まれる動物性たんぱく質をエサとして好みます。そのため、私たちが動物性たんぱく質を過剰に摂取すると、小腸で十分に消化されず分解されなかったたんぱく質が大腸へ運ばれていき、悪玉菌がそれを食べることで増殖してしまうのです。
動物性たんぱく質には、タウリンやメチオニン、システインなどの硫黄を含むアミノ酸が多く含まれているのが特徴です。そのため、悪玉菌の分解を受けて硫黄臭の原因となる硫化水素や二酸化硫黄などが産生されてしまうと考えられています。
玉ねぎやニラ、にんにく、ネギなどの過剰摂取
他にも匂いの原因となる食べ物には、玉ねぎやニラ、にんにく、ネギなどがあります。これらの食べ物には硫化アリルやアリシンと呼ばれる硫黄化合物が多く含まれており、腸内で硫黄臭の原因となる硫化水素を発生させます。
偏食や食生活の乱れが原因による腸内細菌バランスの崩れ
上述のような食べ物を摂取する以外にも、好きなものばかり食べていたり栄養に偏りがあったりする場合、腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌の数が増え、おならの匂いが強くなることで、硫黄臭が気になることもあります。また悪玉菌は食事以外でも、不規則な生活やストレス、お通じの不調によっても増殖するため注意が必要です。
おならが硫黄臭で気になる場合の改善方法とは?
ここでは、おならが硫黄臭で気になっている場合の改善方法について解説します。おならの匂いをできるだけ予防したいという方もぜひ参考にしてください。
食物繊維の含まれた食材を摂取する
お通じがスッキリしない状態が続くと、腸内で悪玉菌が増殖したり、おならの匂いの元となる不要なガスが便とともに溜め込まれやすくなったりする原因となります。そのためおならの匂い予防として、お通じの悩みを解消していくことがとても有効です。
お通じの改善には食物繊維の含まれた食材の摂取を意識することが大切です。中でも、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂取することでお通じの改善が期待できます。食物繊維は豆類や野菜類、海藻などに多く含まれるため、積極的にとるといいでしょう。
お米を玄米に変えたり、パンを全粒小麦に変えたりするなど、主食を食物繊維の多いものへと置き換えることで、食生活を大きく変えずに食物繊維を効率よく、手軽に摂取できます。
ビフィズス菌を増やす
腸内細菌の“善玉菌”の一種であるビフィズス菌は腸の働きを良くすると言われており、摂取することでさらに腸内の善玉菌を増殖させて腸内フローラ(腸内環境)を改善させる効果が期待できます。
また、ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖を摂取するのも良いでしょう。オリゴ糖はバナナや大豆、ごぼうなどに多く含まれています。
しかしビフィズス菌は多量に摂取しても腸に長く留まることができずに便と一緒に排出されてしまいます。そのため、ビフィズス菌が含まれている食べ物を一度に摂取するのではなく、毎日少しずつ摂るように心がけると良いでしょう。
食事だけでビフィズス菌を十分に摂ることが難しい場合は、サプリメントなどを活用して摂取しても良いですね。
動物性たんぱく質やニラやにんにくなどの過剰摂取を控える
前述のとおり、おならの匂いが気になる時には、硫黄臭の原因となる動物性たんぱく質や玉ねぎ、ニラやにんにくなどの食べ物の過剰摂取を控えるようにしましょう。ただしこれらの栄養素・食品が必ずしも悪いわけではなく、どれも健康な体作りのためには必要な食材です。たとえば、動物性たんぱく質は必須アミノ酸のバランス・含有量が豊富な栄養素であり、筋肉を作るためには欠かせません。
そのため、完全に摂らないのではなく、適度な量を摂ることを心がけましょう。
食生活を見直し、腸内環境を整えよう!
ここまでなぜおならが硫黄臭くなるのか、原因や改善方法も解説しました。本来、おなら自体は匂いはほとんどないもので、生理現象のため我慢する必要はありません。
硫黄のような匂いが気になる場合は、匂いの原因となる食べ物などによって悪玉菌が増殖し、腸内のバランスが変化している可能性があります。
日々の食事や生活習慣を見直して匂いの原因を断つことで、改善が期待できるでしょう。
まずは腸内の環境を整えるために、食事を見直してみてはいかがでしょうか。