2021年12月17日 研究開発

「ラクトフェリン」の製造量において世界トップシェア(※1)の森永乳業

ラクトフェリンが免疫細胞の一種である樹状細胞(pDC)を活性化することを確認
第15回国際ラクトフェリン会議での発表内容のご報告


 森永乳業は、和歌山県立医科大学との共同研究などから、ラクトフェリンがウイルスに対する免疫応答において重要な役割を果たす、免疫細胞の一種であるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化することを確認しました。今回の研究結果は、2021年12月6日(月)~10日(金)に中国・北京にてオンラインで開催された第15回国際ラクトフェリン会議にて発表しました。
※1Absolute Reports社 2021年版 当社の子会社、MILEI GmbH(ミライ社)の製造量シェア


1.学会概要
国際ラクトフェリン会議は、1992年にハワイで第1回会議が開催され、今回で15回目を迎えました。当社は第1回会議から毎回参加し、発表を行っています。今回の会議には、世界28か国の研究機関や企業から200名以上が参加し、ラクトフェリンの様々な側面について70以上の演題が発表されました。

WEBサイト:https://15thlactoferrin.com/

2.発表内容
<概要>
免疫細胞の一種であるプラズマサイトイド樹状細胞(以下pDC)は、ウイルスに対する免疫応答において重要な役割を果たします。今回、ラクトフェリンがpDCを活性化することを細胞実験で確認しました。この結果は、ラクトフェリンの幅広い免疫調節作用を説明するメカニズムの1つと考えています。

<背景・目的>
これまでの臨床試験から、ラクトフェリンの摂取が日常生活における呼吸器や胃腸などの様々な自覚症状を軽減することが報告されています。そのメカニズムとして、ラクトフェリンがNK細胞、T細胞、B細胞などの幅広い免疫細胞を活性化する可能性が考えられています。一方、血液の中にごく僅かに存在するpDCもまた、NK細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞を活性化することが知られています。したがって、ラクトフェリンがpDCを活性化して、その結果としてNK細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞が活性化している可能性が考えられます。しかしpDCは他の免疫細胞に比べてその数が非常に少なく、これまでの研究では、ラクトフェリンのpDCに対する作用はほとんど調べられていませんでした。そこで今回、このpDCに焦点を当てて、ラクトフェリンが血液中のpDCの活性に及ぼす影響を細胞実験で検討しました。

<発表演題名>
1.Effects of bovine lactoferrin on plasmacytoid dendritic cells in peripheral blood ex vivo.
(ウシラクトフェリンの生体外での末梢血中のプラズマサイトイド樹状細胞に対する効果)
2.Effects of bovine lactoferrin on the production of type I IFNs from plasmacytoid dendritic cells.
(ウシラクトフェリンのプラズマサイトイド樹状細胞からのI型インターフェロンの産生に対する効果)


本研究により、ラクトフェリンがpDCに働きかけ、pDCを活性化することが細胞実験で確認されました。このことから、ラクトフェリンはpDCを活性化し、その結果として幅広い免疫細胞を活性化している可能性が示唆されました。ラクトフェリンによるpDCの活性化は、ウイルス由来の遺伝物質が存在する時に特に強く観察されました。よって、ラクトフェリンはウイルスがいない時よりもウイルスがいる時にpDCを強く活性化し、ウイルスの排除に働くなど、免疫を適切に調節していることが推測されます。ラクトフェリンがヒトの免疫をどのように調節しているのかについて、引き続き、研究を進めてまいります。


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