業績情報
森永乳業グループ2023年3月期の概況
売上高 | 5,256億03百万円(前年比4.4%増) |
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営業利益 | 239億39百万円(前年比19.6%減) |
経常利益 | 252億18百万円(前年比19.0%減) |
当期純利益 | 168億75百万円(前年比50.0%減) |
※ 「当期純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」
当期はウクライナ情勢の長期化など多様化した地政学リスクや、世界的な金融引き締め政策などにより、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じました。国内においては、ウィズコロナのもとで景気が持ち直していくことが期待された一方、物価上昇による家計や企業への影響が発現するなど、今後も国内外の情勢の動向を注視する必要があります。
そのような中、森永乳業グループは生活必需品である食品を製造する企業としての使命を果たせるよう、従業員の安全と健康に引き続き最大限の配慮をし、できる限り商品の供給を継続すべく取り組んでまいりました。また、当期から開始した新たな「中期経営計画2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大に取り組みました。また、MILEI GmbH(ミライ社)を中心とした海外事業については、売上・利益とも大きく伸張したことに加え、パキスタン、米国、ベトナムなど積極的なM&Aに着手しております。
一方で、世界的な需要の高まりや円安の影響、およびウクライナ情勢の不透明感が加わり、原材料・エネルギー価格および物流コストにおいては、従前の環境とは大きく異なる水準で上昇しました。加えて、2022年11月から飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格の引き上げが行われたことにより、一段のコストアップが進みました。これらに対し、チーズ、アイス、牛乳、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジなどの価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどによるコスト吸収に努めました。しかしながら、価格改定後の数量減や生活者の消費動向の変化等の影響を受けたこと等により、増収ながらも減益の結果となりました。
<中期経営計画の概要>
2025年3月期までの3年間の「中期経営計画2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、
- ・「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」
- ・「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」
- ・「効率性を重視した財務戦略」
の3つを基本方針に定め、取り組んでいます。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのテーマにより2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めております。
中期経営計画の最終年度(2025年3月期)の数値目標については、売上高5,400億円、営業利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益160億円、売上高営業利益率4.6%、ROE(自己資本利益率)6%、海外売上高比率13%としています。
<当期の主な取り組み事項>当期は、当社グループが新たなステージに向かうための重要なスタートの1年と位置付け、激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めてまいりました。
- ・原材料・エネルギーコスト上昇への対応
- - 価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制
- ・「中期経営計画2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」に沿った取り組みの推進
- - 当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応える商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求
- - ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大
- - 海外事業の拡大(既存事業の拡大、NutriCo Morinaga (Private) Limited(パキスタン)、Turtle Island Foods, Holdings, Inc.(米国)の株式取得、Morinaga Le May Vietnam Joint Stock Company(ベトナム)の株式譲渡契約等の決議など)
- - 主にBtoB事業(業務用乳製品)を中心とする、感染症による環境変化に対応した販売活動の促進
- - 経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資
(2022年5月稼働:利根工場ドリンクヨーグルト設備増設、2024年4月稼働予定:神戸工場製造棟増築) - - サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み
(本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への配慮、グループ全体のサステナビリティ意識の浸透、当社グループ初となるグリーンボンド発行など)
これらの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、チーズ、アイス、牛乳、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジなどの価格改定や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」などの高付加価値商品の提供に努めました。特に主力食品事業は上期を中心に価格改定後の数量減、国内における消費動向の変化の影響を大きく受けたものの、業務用乳製品などの拡販によるBtoB事業の拡大、MILEI GmbH(ミライ社)を中心とした海外事業の伸長などもあり、全体では増収となりました。
連結の利益面では、世界的な需要の高まりや円安の影響、飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格の引き上げなどによる、原材料・エネルギー価格の上昇の影響を大きく受けました。これに対し、価格改定やプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどを推進し、また、海外事業の貢献もありましたが、大きなコストアップを吸収することができず、全体では前年を下回りました。
なお、公益財団法人ひかり協会に対する負担金として、当期は約17億円を支出いたしました。